人知を超えた存在である妖怪の中で、「予言獣」と呼ばれるものたちがいます。人間の前に忽然と姿を現し、これから起こるであろう災厄を予言し、方策も示す――妖怪でありながら、人への親切心も持ち合わせているのです。写真の可愛らしい妖怪、アマビエも予言獣の仲間です。
アマビエは江戸時代の瓦版に掲載された半人半魚の妖怪。長い髪やくちばし、うろこに覆われた胴体が特徴で、「病がはやったら私の写し絵を人々に見せよ」と告げて海に消えたとの言い伝えがあります。
「我こそは、アマビエと申す者なり。当年より6年の間は、諸国で豊作が続く。だが疫病もはやる。だから我の姿を絵にして描き写し、人々に早々に見せよ」
時は江戸時代、弘化3年(1846年)、肥後の国(現在の熊本県)で、ある日の夜、海中に光る生物が現れた。役人が赴いて様子をうかがう。すると、その半人半魚の生き物は、こう言って、海の中へ去っていったという。このアマビエが、令和の今、コロナ禍によって蘇りました。
新型コロナウイルス感染症の終息を願い、秋田市の仲小路商店街の約50店舗は、疫病から人を守る力を持つとされる妖怪「アマビエ」の絵を描いたお札を買い物客に配布しています。(5月末までの予定)
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